濃厚なサマー・ソング集

メトロノミー『サマー・オー・エイト』
発売中
ALBUM
メトロノミー サマー・オー・エイト
5作目となる最新アルバム。アナログ・サウンドにこだわり、60年代のロックやソウルのムードも漂わせた前作『ラヴ・レターズ』。対して今作は、ジョセフ・マウントが自身のDJ時代を回想するオールドスクールなヒップホップへの愛、初期の作品の宅録的なムードを窺わせながらも、プロダクションやビート・メイクの洗練された手業が光る一枚、と言っていい。とくに、ビースティーズのターンテーブリスト、ミックス・マスター・マイクがスクラッチをカマすM3、パーカッシヴなビートが際立つM4は80年代の〈ZE〉も連想させるエスノな香りが印象的で、本作の白眉に挙げたい出来だ。

見せ場はこれだけではない。ロビンをコーラスに迎えたM5の美しいエレクトロ・ソウルや、続くM6のメランコリックなR&B。さらに、サックスのオスカー・キャッシュが歌うM10。そうした素晴らしいヴォーカル曲の存在が、マウントの一音一音への偏執的なこだわりが行き届いた今作の魅力を、よりいっそう奥深いものにしている。アウトキャストやリル・ウェインを手がけたニール・ポーグがミキシングに参加しているのもポイント。(天井潤之介)
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