嬉しいライヴ盤の登場だ。昨年12月にパリでレディオヘッドのトム・ヨーク、レッチリのフリー、パティ・スミス、コンゴのファリー・イプパらが参加して2日間行われたスペシャル・パフォーマンスの模様で、パティの娘でピアニストのジェシー・パリスとチェリストのレベッカ・フーンによって気候変動問題の啓蒙を目的に設立された「パスウェイ・トゥ・パリ」のためのイヴェント。先日、東京で行われたアレン・ギンズバーグ・トリビュート・イヴェントの際にも聴かせてくれたパティの歌う“ウィング”でスタートし、トム・ヨークの“ブルーム”やフリーとウォーレン・エリス（ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズ）による超絶デュオなど、珍しく、そして聴きごたえのあるトラックが続く。

日本のイヴェントでもジェシーと共にパフォーマンスを披露してくれたチベットのテンジン・チョーギャルの演奏、歌声やパティの朗読“ピーサブル・キングダム”などがこのイヴェントにはよくマッチしているが、他も参加した全アーティストたちの思いが伝わってくるし、その気持ちは全員参加の“ピープル・ハヴ・ザ・パワー”に集約されている。（大鷹俊一）