戦慄&感激必至の美の風景

フィーダー『オール・ブライト・エレクトリック』
発売中
ALBUM
それこそブリットポップからオルタナ/グランジ、ヘヴィ・ロックまで含め、およそロックの麗しさと憂いを全部内包したようなサウンドスケープもさることながら、フィーダーの音楽の真価は何と言っても、アリーナ・クラスの高揚の風景を編み上げるそのメロディ&アンサンブルそのものが、至上のアートとしての透徹した構築美に貫かれていることだ。ということを、前作『ジェネレイション・フリークショウ』から約4年ぶり/ 9枚目のスタジオ・アルバムとなる今作は厳然と物語っている。

ハード・エッジなリフとビートの渦の果てにめくるめく悦楽の旋律を描き上げる先行シングル曲“ユニヴァース・オブ・ライフ”のダイナミズム。ヘヴィネスとアンビエンスを編み合わせて、冷徹なまでに高純度なロック・ファンタジーの風景を繰り広げてみせる“ギーザー”。秘めやかな静寂とメタリックな轟音の奔流が寄せては返す“ハンドレッド・ライアーズ”……聴く者の魂の揺らぎも迷いもすべて受け止めてロックとポップの彼方へ導き得るだけの強靭な音楽世界を作り上げたフィーダーの「今」が隅々まで凝縮され尽くした、死角なしの名盤。(高橋智樹)