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リリースに先立ちHonda「FREED」CMソングとして流れていた、というだけでは説明がつかない、この「ずっと前からそばにいてくれた」ような感覚はなんだろう。2024年のミセスが異様なペースで放ち続ける名曲たちの中でも、このあたたかで自然体な佇まいは際立っている。《君に見せたい/景色がある/僕の「好き」を/どう思ってくれるかな》という歌い出し一発で、家族や友人や恋人のような大切な誰かに対する「好き」を共有したいというごく自然で普遍的な心情を的確に浮かび上がらせ、それと呼応するピアノを主体としたミドルテンポの曲調は、聴き手それぞれの中にある何気なくも大切な光景を呼び起こす。そして、目まぐるしい日々の中で生まれる自問やふと脳裏によぎるノスタルジーまでも一筆で描き伝えるのは、ドイツ語で家族を意味する「familie」──大切な存在とのつながりのかけがえのなさ。ミセスの歴史に刻まれた新たな1ページによって、この先ずっと携えて歩いていきたいと思える名曲がまたひとつ増えた。(風間大洋)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より抜粋)
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