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まるで異なる個性を有する配信シングルを3月から毎月連発しており、一種の「ゾーン」状態に突入している感のあるVaundy。今回の楽曲は吉田一郎不可触世界がXに「80’sの向こうがわであの世の8BEATをイメージしてベースを演奏しました」とポストしている通り、80年代後期のビートロックを彷彿とさせる曲調、ボーカリゼーションを選択しつつ、ビートの強度と快楽性によりモダンな音像へと磨き直されている。懐かしく思えるはずのサウンドだが、ここまで痛快で壮快な仕上がりは味わったことがない、というところまで突き抜けているのだ。リリックにおいては、サビの《キャトルミューティレイション》という単語がとにかく印象的。これは米国で血液や臓器を不自然に抜き取られた家畜が発見され、宇宙人の仕業ではないかと話題になった怪事件を指すもの。つまり、超常的な力で聴き手の心を奪うラブソングを歌う、という意志をひと言で言い換えているのだろう。大衆音楽家としてのフックの作り方が、Vaundyは本当に上手い。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年11月号より)
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