墜落の果てに響く、飛翔の爆音

サム41『13 ヴォイシーズ』
発売中
ALBUM
サム41 13 ヴォイシーズ
サム41の「奇跡の完全復活」については、今春のパンクスプリングでのアクトでリアルに実感していたが、この5年半ぶりの新作アルバムは、あの時の感覚が間違いでなかったことを明確に伝えてくれる。前作『スクリーミング・ブラッディ・マーダー』後の「13年:スティーヴ(Dr)脱退」、「14年:デリックがアルコール依存症で入院、どん底に」、しかし「15年:『チャック』後に脱退したデイヴ・バクシュが再びギタリストとして加入」という自らのドキュメントを、“ガッデム・アイム・デッド・アゲイン”、“ザ・フォール・アンド・ザ・ライズ”といった楽曲タイトルのみならず、アルバム全体に焼き込んだ凄絶な、それゆえに極限までエモーショナルなロック・アルバムに仕上がっている。“ガッデム・アイム・デッド・アゲイン”で聴かせる、サム41王道の爆走パンクとディープ・パープル“紫の炎”とイーグルス“ホテル・カリフォルニア”が同居するようなサウンドスケープも、デイヴの硬質なギター・サウンドをフィーチャーしたかつてのメタル・パンク感が熱狂の彼方へと導いてくれるし、何よりデリックの鋭利なパンク・ヒーロー感が完璧に蘇っていて嬉しい。(高橋智樹)
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