姉に肩を並べる傑作で全米1位に
ソランジュ『ア・シート・アット・ザ・テーブル』
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ALBUM
実に8年ぶりとなるフル・アルバムが日本盤化。EP『トゥルー』以降、じっくりと制作期間を設けてきたらしいが、本国リリース時に聴き、あまりの素晴らしさにぶっ飛ばされた。シルキーで美しいコーラスに包まれながら、緩やかに宙を舞い続けるようなプロダクション。しかし、歌の内容は怒りに満ち満ちている。実姉ビヨンセの最新作『レモネード』との共通点を指摘することも出来るだろう。証言のようなインタールードを挟み込んでシームレスに楽曲群を繋ぎ(母ティナも登場する)、一貫してフェミニンで柔らかな魅力を振り撒きながら、社会に蔓延り続けるレイシズムや父権主義・男性主義を糾弾してみせる。前時代的な価値観に辟易し、浮世離れするほど夢見心地な音楽性でヴィジョンを提示するさまには、思わず身震いさせられるほどだ。エグゼクティヴ・プロデューサーにはソランジュとラファエル・サディークの名がクレジットされているが、より興味深いのはデイヴ・ロングストレスやデヴィッド・シーテックといったオルタナ人脈との共闘だろう。同じく今年、久々のアルバムを発表したトゥイートの美麗コーラスも嵌っている。(小池宏和)