「王道ポップス」、「明るいメロディ」、「季節モノ」……どれも狙ってる感が出て、楽曲をいやらしくしてしまいがちな要素だ。しかし、sumikaの『SALLY e.p』には、これらの全てが詰まっているのに、いやらしくない、というか寧ろ爽快！ 未練がましい男のラブソング“まいった”さえ、ユーモア交じりで心地好く聞こえてくる。それはきっと、彼らが嘘偽りなく音楽をやっているからだろう。

“MAGIC”は、在日ファンクのホーン隊を迎えた華やかなトラックで《心をしばし踊らせたいんだよ／1秒足らずで　さあ傾れ込むから／イヤフォン越しでかけてよ》という願いが歌われているが、まさにその通り、いつだって老若男女の心を踊らせるような至福感に溢れた楽曲になっている。映像作家や写真家など、様々なアーティストと共にライブを行っていることが象徴的なように、エンターテインメントを追求してきた彼らが、遂に生み出した決定打だ。さらに、抜群の疾走感を誇る“坂道、白を告げて”や、冬の温度をほっこり上げる“オレンジ”も秀逸。ますます広く愛されていくきっかけの1枚になりそうだ。（高橋美穂）