【10リスト】私たちの心を揺らしたsumikaの名歌詞10

【10リスト】私たちの心を揺らしたsumikaの名歌詞10
sumikaの魅力と言えば?」そんなアンケートを取ってみたら、いろんな答えが返ってくると思う。歌声や演奏、バンドの結束力はもちろんのこと、曲のバリエーションの幅広さや、聴く人にとって「住処」みたいな存在でいてくれるところ、最高潮に盛り上がるライブ、アットホーム感全開のゆるいMC……などなど。迷ってしまうほど沢山ある魅力の中で、きっと「歌詞」と答える人も多いはずだ。sumikaの歌詞はどれも純粋な言葉ばかりで、かといって綺麗に整えられた感情だけじゃなく、人間らしい泥臭さもしっかり感じられる。そんなsumikaの歌詞の凄さを、厳選した10のフレーズから読み解いていきたい。(渡邉満理奈)


①雨天決行

《生まれ落ちた排泄物/汚くて恥ずかしい筈が/極稀にこう言われるんだよ/「綺麗だね、素敵なものだね」》
sumikaの始まりとも言える1曲。2019年の横浜アリーナ公演でこの曲が演奏された時、片岡健太(Vo・G)はこんなことを話していた。「次に歌う曲が出来た時『まだバンド続けんのか』って笑う人がたくさんいました。だけどこの曲があったから絶対に折れてたまるかって、心の中でお守りみたいにしてずっと大事に歌ってきた」――何かを続けるのは簡単なことではなく、彼らにも葛藤の日々があっただろう。それを繋ぎ止めたのはきっと、sumikaの音楽を必要とする人たちの言葉だ。

②Lovers

《ねえ浮気して ねえ余所見して/ずっとずっと離れぬように》
sumikaのラブソングの中で特に人気が高いこの曲は、結婚式で使われることも多いそう。もし式場で《ねえ浮気して》なんてフレーズが流れてきたら正直ビックリしてしまうけれど、これは「君にとって最後の恋人」になりたいからこその深い愛情表現。《たくさん比べて欲しい/そんで何百万の選択肢から選んで欲しい/だってその方がずっとずっと/最期まで寄り添い遂げられる気がしているから》。いろんなことがあっても、最後に手を取り合えるような関係が一番強い繋がりと言えるのかもしれない。

③「伝言歌」

《伝えたい 全部あなたに/全部伝えて この言葉よ/迷わないように》
sumikaは何よりも「伝えること」に重きを置いているバンドだ。いつだって片岡はリスナーに対して「みんな」ではなく「あなた」と語りかける。それは自分たちの音楽を一人ひとりに届けていきたい思いがあるからで、このスタンスはバンドの規模がどこまで大きくなっても揺らぐことはないだろう。だから《伝えたい 全部あなたに》というフレーズにはsumikaにしか出せない切実な響きがあって、ライブでシンガロングが沸き起こるとひときわ感動的な空気に包まれる。

④まいった

《君の写真ばかり掘り返しては/やたら可愛いアイドルと/見比べて下に見てみるものの/まいった/君だけが頭の中から消えないみたい》
1st e.p『SALLY e.p』と1stフルアルバム『Familia』に収録されたミディアムバラード。恋におちてしまうと、心はなかなか自分の思い通りに動いてくれない。この曲に出てくる「僕」がまいっているのはそのせいで、どうにかして気持ちを抑えようと厭らしい目で余所を見たり、やたら可愛いアイドルと比べたり……それでも結局「君」が頭の中から消えることはなく、ほろ酔いながら《あの日の道》を歩いている。そんな「僕」の不器用でちょっぴり情けない姿は、感情移入せずにいられない。

⑤フィクション

《さあ 今日も始めましょうか/栞挟んだページ 涙の跡/苦しくて思わず閉じた/理由は忘れずに》
再生した瞬間に心が踊り出すポップなナンバーで、人生を1冊の本に例えた歌詞が面白い。苦しい出来事もストーリーを繋ぐ1ページだと気づかせてくれるこのフレーズ以外にも、人生において大切にしたい言葉がたくさん散りばめられている。例えば《高鳴る所には忘れず付箋を》は、後ろ向きな気持ちになっても楽しいページを読み返すことで元気を取り戻せるように。そして《読み進める程/白紙のページが》には、あなたの思うまま自由にストーリーを描いてほしいという思いが込められている。

⑥ファンファーレ

《夜を越えて/闇を抜けて/迎えにゆこう/傷の海も 悩む森も/厭わない/毒を飲んでさ》
2018年に発表されたこの曲は、劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』のオープニングテーマ。見たくないものは見ないふりをして、自分を誤魔化しながらだって生きられる。でも結局それは逃げることと同じで、そこを避けて通っていたら見逃してしまうものもあるのだ。だからネガティブな感情も全て飲み干して、自分から美しい瞬間を迎えにゆく。そんな決意を感じるこのフレーズには、逆境を跳ね除けて力強く生きていく勇気を授けられる。

⑦10時の方角

《ああ、コンパス狂っていても/美しい直線じゃなくてもいい/ああ、斜め 曲線でも/自らが信じた前方の方角へ》
2ndフルアルバム『Chime』の1曲目に収録。どこまでもポジティブな言葉で、スタートラインに立つ全ての人の背中を押してくれる応援ソングだ。たとえ歩んでゆく道に不安があっても、遠回りになってしまいそうでも、ひたすらに《自らが信じた前方の方角へ》と進んでいけばいい。歌詞に込められたそのメッセージは、周りから何を言われようと音楽を続けてきたsumikaというバンドが放つからこその説得力がある。迷わないためには、自分の心の向きに正直でいることが重要なのだろう。

⑧Familia

《所縁(ゆえん)はない/血縁もない/他人同士の僕らは/唯一の/選べる家族としてさ/惹かれあったSympathy》
ウエディングソングでありながら、恋愛や結婚だけに限らずもっと広い意味での「家族」がテーマになっているこの曲。抜粋したフレーズが意味するのは、家族は所縁や血縁が全てではなく、自分で選んでつくっていける居場所でもあるということ。だからいろんな形があっていいし、特に今の時代は「こうじゃなきゃいけない」なんて枠にとらわれる必要もない。そんな思いが反映されたMVには、国籍や年齢差、性別などの垣根を超えた様々な形の家族や家庭が登場する。

⑨願い

《「おはよう」/たったひとつで世界が弾むから/あなたはすごい人だね/寒い冬を温められる人》
ドラマ『おっさんずラブ-in the sky-』の主題歌にもなった、切ない片想いを描いたラブソング。好きな人からの一言で舞い上がってしまったり落ち込んでしまったりする恋心は、恋愛したことがある人ならきっと誰もが共感できるだろう。「あなた」が想っている「あの子」になれないのは悲しい事実。それでも《あなたに出会えてよかった》という真実と《一生物のギフト》は、これからも胸の中に残り続ける。恋愛の幸せはきっと、両想いになれることだけが全てではないのだ。

⑩エンドロール

《さよならしなきゃなと言葉にして/首を縦に振る君の左手取って/愛している愛している愛している/僕は一生君のそばで》
2020年リリースの『Harmonize e.p』に収録されているこの曲は、まるで映画のような作品だ。冒頭の《さよならしなきゃなと言葉にして/君の頬を流れていく雫を見ていた》だけを切り取ると別れの曲にも思えるのに、ストーリーはハッピーエンドへと展開していく。そして聴き終えた後には、うっとりしてしまうほど幸せな余韻だけが残る。感動的なラストシーンが浮かび上がってくるこの名フレーズは、映画やドラマなど数々のタイアップを経験してきたからこそ生み出せたものなのだろう。
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