「10代の自分を支えてくれた言葉」を思い返すと色々ある。両親や先生、部活の先輩が諭してくれた言葉は大人になった今になってその真意や深みが分かるようになったし、教室で友人と交わした何気ない会話は楽しい学生生活の思い出を今なお彩ってくれている。けれど、あの頃抱いていた人には言えない葛藤や焦燥感を救ってくれたのは、通学中に聴いていた曲の中の言葉だったなと思う。自分のことを何も知らない人が歌う、自分の本心の代弁。遠からず近からずのその距離感に何度も救われては叱咤されたそんなあの頃を振り返ると、今の若い子の傍にShout it Outの音楽があるのはどれだけ心強いことだろうと羨ましくもなる。

《気持ちだけが追いつかなくて　周りは大人になってる気がして／僕は一人だった》（“青年の主張”）――少年以上大人未満の青年にしか紡げない言葉、閃かない発想、辿り着けない答え。「自分が10代だった頃にこの曲があれば、越えられたものがあったかもしれない」と思わずにはいられない、時代世代時期を問わずに自分の絶対的味方となってくれる、青写真的アルバム。（峯岸利恵）