タイトルを知って「おや?」と驚いた。「みんなでのし上がっていこう」みたいなMCをしたり、《仲間とこじ開ける未来は絶景さ》(“ワイルド・サイドを行け”)と歌ったりしていた彼らとは真逆の印象を受けたからだ。でも聴いてみると、ただ決意を新たに、いや一層の覚悟を持ったのだということがひしひしと伝わってくる。まず自分の足で立たなければ仲間と歩くことなんてできない。《尖り抜いた孤高の旗を振れ》(“アイスタンドアローン”)。痛快、爽快。どんどん行け。本曲は話題を呼んだ過去作と違いサイケデリックな音像が響くが、バンド名のGLIMとはケルト文化における暗く深い森を照らす灯火といった意味。つまり本来の姿を磨いた結果だということ。その上で国内ではあまり聴かない爆裂ファズサウンド、野外フェスのバカデカい会場で叫びたくなる現代版トラッドフォーク、凛とした歌謡性とロックのダイナミズム、アンニュイなコードに心温まるボーカルと表題以外の4曲でも実力を証明。日本のバンドが世界で勝つという夢物語が、現実となる日も近いのではないかという希望を抱かせる1枚。(秋摩竜太郎)