決断によって開けた女の道

メアリー・J.ブライジ『ストレングス・オブ・ア・ウーマン』
発売中
ALBUM
メアリー・J.ブライジ ストレングス・オブ・ア・ウーマン
新作リリース直前に来日公演を行ったメアリー・J.ブライジ。2014年の前作『ザ・ロンドン・セッションズ』は、UKソウル/ガラージに接近して新たなスタイルを模索するという興味深い内容だったが、セールス面では今ひとつ振るわなかった。
「あれは私自身の心を癒す上で、どうしても作らねばならないアルバムだった」という本人コメントもある。昨年、長らくマネージャーを務めていた夫との離婚を申請し、彼を解雇する(一説には現在、夫は月額12万ドルもの生活費をメアリーに要求しているらしい。夫と前妻との間に生まれた子供がいるが、メアリーとの子はいない)といった波乱の中でリリースされるこの新作は、前作とは打って変わって歌声が力強さに満ち溢れており、驚かされた。タイトルにも強く生きる姿勢が表れている。
カニエのラップをフィーチャーした先行曲“ラヴ・ユアセルフ"“は「私以外の誰かを愛する前に、自分自身を大切にしたら」と歌われるナンバーで、新たな生活に踏み出そうと決断したメアリーがポジティヴなエネルギーを獲得していると分かる。ひたすら高揚感を増幅させながらフィナーレを迎える、圧巻の一枚だ。 (小池宏和)
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