「あれは私自身の心を癒す上で、どうしても作らねばならないアルバムだった」という本人コメントもある。昨年、長らくマネージャーを務めていた夫との離婚を申請し、彼を解雇する(一説には現在、夫は月額12万ドルもの生活費をメアリーに要求しているらしい。夫と前妻との間に生まれた子供がいるが、メアリーとの子はいない)といった波乱の中でリリースされるこの新作は、前作とは打って変わって歌声が力強さに満ち溢れており、驚かされた。タイトルにも強く生きる姿勢が表れている。
カニエのラップをフィーチャーした先行曲“ラヴ・ユアセルフ"“は「私以外の誰かを愛する前に、自分自身を大切にしたら」と歌われるナンバーで、新たな生活に踏み出そうと決断したメアリーがポジティヴなエネルギーを獲得していると分かる。ひたすら高揚感を増幅させながらフィナーレを迎える、圧巻の一枚だ。 (小池宏和)