ロックを逆撫でするロック

凛として時雨『moment A rhythm』
2008年12月24日発売
SINGLE
凛として時雨 moment A rhythm
またもや時雨がやってくれた。思わずそう快哉を叫んでしまう。今年4月のシングル『Telecastic fake show』以来となるリリースは、メジャー・デビュー作にして、1曲のみ16分50秒、48Pブックレット付3000円のシングル。完全生産限定盤とのことで、一体どれくらいの人の手に渡るのか分からないが、本作を手にする人は、皆この遊び心を理解するだろう。それが今の時雨だ。

時雨といったら期待してしまう、スピード感のある激しい楽曲ではない。淡々としたミディアム・テンポの8ビート。荒野の先を描くような枯れ果てたギターのアルペジオ。焦点を失ったように漂うフィードバック。けれど、音から導かれる世界観のテンションにまったく手加減はない。もう八百長や出来レースはいいだろう、そう音が雄弁に語っている。そして、約17分の旅を経ることでしか辿り着けない場所へ、確かに連れていってくれる。その旅はあっという間だ。

つまらなければ、ぶっ壊してしまえばいい。音を通して感じてきたそんなメッセージが、どんどん具体的な方法論になりつつある。興奮する。(古川琢也)
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