進化するシューゲイザーの原点

ライド『ウェザー・ダイアリーズ』
発売中
ライド ウェザー・ダイアリーズ
ジザメリやスロウダイヴの素晴らしい新作など元祖シューゲイザーの復活が続く今年、ライドの本作はまさにその真打ち的一枚になるはず。彼らはこのアルバムで、21年前に不本意な形で終わってしまった自分たちを本来のあるべき姿へと成形し、その復権のために迷いなく邁進している。マックスに歪み重ねられたノイズの懐かしさと、それを強烈なシンコペーションで突き破りながら進むギターとリズムのモダンでハイファイな音響によって、ライドのシューゲイザー・サウンドが過去には類を見ないほど立体的に示された感動があるのだ。

ブリットポップの攻勢に適応できず撤退したことへのリベジのように、彼ら本来のルーツであるビートルズや60sサイケ・フォークのメロディも、復活を祝すカラフルな色を添えている。マークとアンディのコーラスがこんなに晴れやかに響くのも初めてではないか。その一方でポスト・ロックやアンビエントの要素を新たに加え、『ゴーイング・ブランク・アゲイン』の先、さらに深部を改めて掘り進める中〜後半の漆黒サイケな展開に、第2期ライドへの期待が否が応でも膨らんでいく。( 粉川しの)
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