冴え渡るソングライティング

ブリーチャーズ『ゴーン・ナウ』
発売中
ブリーチャーズ ゴーン・ナウ
テイラー・スウィフトやロードなど女性シンガーたちの信頼が厚いファン.のギタリスト、ジャック・アントノフのソロ・プロジェクト、ブリーチャーズのセカンド。3年前の『ストレンジ・デザイア』は80年代ニュー・ウェイヴを上手くスパイスとして使っていた。今回もそこらのテイストは引き継ぎつつ、さらに1曲毎にアイデアを詰め込んであれこれやっているが、どれもしっかり練り込まれ、柔軟にアレンジされているので面白いように聴き進められる。ビートルズをはじめブリティッシュ・ポップのエッセンスを引き継いだソングライティングがベースで、それが親しみやすい曲にしているのだ。

すっとぼけたジャケット、笑いを誘うライブと、どこか力が抜けているのだが、このアルバムを聴いていると細部の隅々にまで目配りとセンスが利いていて、そのあり方が時代にぴったりとあっている。伝説的な大リーガーに捧げた“ドリーム・オブ・ミッキー・マントル”に始まりロードとの共作である“ドント・テイク・ザ・マネー”を含むアルバム全体がコンセプチュアルに流れていき、そのトータリティ、構成力の深化を証明している。 (大鷹俊一)
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