斬新なタッグが放つ鮮やかな閃光

大森靖子『draw (A) drow』

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大森靖子 draw (A) drow
タイトル曲“draw (A) drow”は、凛として時雨のTKによる作曲/編曲/プロデュース。「凛として時雨の音」として多くのリスナーがイメージするであろう要素が満載されていて、大森靖子もその色に徹底的に染まるかのように作詞、歌唱している点に注目させられる。子音から母音へと向かって急上昇、母音から子音へ向かって急下降するというギザギザしたメロディラインを、ダイナミックなハンドリングで表現するこの歌は、これまでの大森作品にはなかったスタイルを示すが、他のクリエイターの世界にあえて没入したからこそ、彼女の表現の醍醐味がフレッシュに滲み出ている印象だ。表層だけを撫でると攻撃的とも捉えられ得る表現の数々が、実は生を全力で肯定する戦慄きであり、根底に清い慈愛を脈打たせる大森ワールドを、この曲は斬新な角度から体感させてくれる。生き辛さと真剣に向き合っている人間が放つ柔らかな光を浮き彫りにした“わたしみ”、クラムボンのミトが編曲した欅坂46のカバー“サイレントマジョリティー”……カップリングも含め、彼女の表現の美しさを強烈に実感できる1枚。(田中大)

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