いまだ規格外、ビッグな情熱

ザ・ウォーターボーイズ『アウト・オブ・オール・ディス・ブルー』

発売中

ザ・ウォーターボーイズ アウト・オブ・オール・ディス・ブルー
スコットランド→ニューヨーク→アイルランド→米南部と音の旅を続ける吟遊詩人マイク・スコットだが、本作で日本もその旅路に加わった。収録曲の半数以上を占めるのはアーティスト・ろくでなし子こと五十嵐恵との出会いそして結婚に至るパッショネイトなロマンス劇で、赤裸々な筆致と歌声にはあてられてしまう。新たなミューズが掻き立てたインスピレーションは大きかったようで、23曲/CD2枚組、それも日本とダブリンでの録音という大作になった。

サウンド面でも幅広く、スペースボム勢も参加したアレンジは彼らしいサザン・ソウル、カントリー、フォーク、ロックンロールのブレンドを聴かせてくれるものの、打ち込みやヒップホップ、R&B調のダンサブルなビートを導入した楽曲は20年くらい前の感覚。その割にグルーヴの変化に乏しいのも未消化な印象だ。この人は基本的にシンガー・ソングライターであり、音のデザイナーではないのだろう。ともあれ彼がいまだに変わり続ける男であることを証明する作品なのは間違いないし、80年代中期ディランのようにファンの間で賛否両論を呼びそうだ。それでも構わず、「俺」道は続く。 (坂本麻里子)

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