木村カエラ、静謐を歌う

木村カエラ『どこ』
2009年01月28日発売
SINGLE
木村カエラ どこ
今や日本屈指のポップ・アイコンでありながら、物憂げなバラードを、しかも“どこ”という行き場も救いもなさそうなタイトルの楽曲をシングルとして発信してみせるあたりが、木村カエラという人を象徴しているようで面白い。ベッドルームの憂鬱な空気の中で膝を抱えて呟くような≪無邪気に笑うって楽しい≫≪強がってみせたって空しい≫≪優しくされると嬉しい≫といった言葉たちを、大胆にストリングスを導入したサビのアンサンブルで思いっきり冬空高く放ってみせるような切ない高揚感。渡邉忍が描き出すウェットなことこの上ない3拍子系のメロディと歌詞を、どこまでもカラッとした質感を持つカエラの声という絵筆で描くことによって、目の前の灰色がかった風景をゆっくりとパステルカラーに変えていくようなマジックを秘めた曲に仕上がっている。カエラ&しのっぴ作詞のカップリングの“Phone”が一転、顔合わせると近すぎ&メールだと遠すぎなこんがらがったコミュニケーションも長電話で一発解決!というアップ・ビートなオプティミズムを発散させまくっているのもカエラらしくていい。(高橋智樹)
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