「真ん中」に安住しないリアル

凛として時雨『#5』
2018年02月14日発売
ALBUM
凛として時雨 #5
5年ぶりのオリジナルアルバムではあるものの、その間に凛として時雨はシングルやミニアルバム、ベストアルバムなど、数多くの作品を重ねてきた。つまり、寡作な時期の「5年ぶり」とは、ちょっと意味合いが違う。また、今作のタイトル。振り返れば、2005年にリリースされた1stフルアルバムが『#4』だった。ということで、ついつい関連性を想像してしまうが、少なくとも切っ先鋭く始まる1曲目の“Ultra Overcorrection”を聴いて、『#4』の1曲目“鮮やかな殺人”の鮮烈さを思い出したことは確かだ(言うまでもなく、曲調はまったく違うし、一音一音の奥深さ、巧妙なアレンジなどは、破格に進化しているが)。
コンスタントに作品を発表しつつある時期でも、これだけ「胸騒ぎ」を起こさせるアルバムを作ったところに、彼らの真価が見える。3ピースとは思えぬダイナミズムの“ten to ten”、独白のような歌詞が染みる(ギターソロやドラムソロも独白のようだ)アレンジの “#5”。結成15年を迎えた今なお、両極に振り切れ続けている彼らの感性は、感動に値するほど純粋だと思う。(高橋美穂)
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