「対話」のバトンが手渡される

小沢健二『アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)』
発売中
小沢健二 アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)
原作・岡崎京子/監督・行定勲の映画『リバーズ・エッジ』の主題歌、“アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)”。CDの屏風開き状特殊パッケージ(近作群の付加価値は高い)を広げると、岡崎京子に捧げられた表題曲(及びそのインスト)のクレジットが目につく。《「小沢くん、インタビューとかでは何も本当のこと言ってないじゃない」》。つまりそういう歌である。それだけで胸がいっぱいになる。映画作品のテーマ曲というよりも、長年の友愛にぐっとフォーカスした歌なのである。ベースがスイングし始める瞬間にオルガンが弾け、平易な言葉を交わすような吉沢亮と二階堂ふみ(共に映画キャスト)のラップの律動に「ふたり」の物語は委ねられている。高らかな叫びはどこにも見当たらないけれど、「自分たちは今、ここにいる」という強烈な実存が浮かび上がっている。胸を奮わせるメッセージはそれだけで十分だ。カップリングの“ラブリー、東京湾上屋形船Liveは雨”は、Apple Musicの番組プログラム内で公開されていた曲。とりわけサビ部分に映える、満島ひかりのハーモニーが素晴らしい。(小池宏和)
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