初期衝動は消えず、むしろ加速する

WOMCADOLE『今宵零時、その方角へ』
発売中
WOMCADOLE 今宵零時、その方角へ
2011年結成、滋賀県出身の4ピースバンド、WOMCADOLEの1stフルアルバム。ストレートに胸に響くロックンロールだ。迷いなく、というのではなくて、迷いがあるとしてもその迷いごと叩きつけるような、身を削るようなサウンドに耳を奪われる。“夜明け前に”や“雨上がり”といった初期デモ曲にあった静かに燃えるようなエモーションが、昨年の1stシングル“アオキハルヘ”のリリースで加速しより激しく押し出されたように、WOMCADOLEの初期衝動は消えるどころか、ここへきて一層の熱を帯び始めている。そのエネルギーの塊のようなアルバムが『今宵零時、その方角へ』である。《あなたとなら死んでもいいと/僕の命が今も鳴いている》と歌い出される1曲目の“月”。こんな無防備な歌詞が説得力を持って響くロックンロールって、今なかなかないのではないかと思う。ヘヴィなブギーで描き出す“頂戴”の猥雑さも、フォーキーに感情を揺さぶる“馬鹿なくせして”のどうしようもなさも、すべてが生々しく突き刺さる。聴き進めるにつれ、どんどんボリュームを上げてしまう1枚。(杉浦美恵)
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