予め組み込まれた再構築のサイクル

オブ・モントリオール『ホワイト・イズ・レリック/イリーアレス・ムード』
発売中
ALBUM
オブ・モントリオール ホワイト・イズ・レリック/イリーアレス・ムード
前作『イノセンス・リーチズ』から約1年半ぶりとなるオブ・モントリオールの新作は、全6曲収録&約40分という、通常のフル・アルバムとはかなり異なる構成を持つ一枚。しかも全ての曲名がふたつのタイトルの合体で記され(アルバム名も)、1曲の中にふたつの主題を内包する、いや、むしろ曲としてのまとまりを敢えて溶解させる強烈な意図によって、6曲が連続性を持った(ひとつのリズム・パターンが随所で反復されるように)コンセプト・アルバムとなった。オリジナル・アルバムでありながら、まるでオリジナル音源のリミックス集のように予め聞こえるのがユニークだ。本作はケヴィン・バーンズ個人の思考をほぼ彼の独断でコラージュしていったアルバムだと推測できるし、サイファイなシネマ・ポップや80sディスコといった本作の要素はバンド・サウンドとして「まとめる」意思がないからこそ、脈絡なく飛躍し、流動し、とてつもないサイケ曼荼羅を描き出しているのだ。(粉川しの)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする