周年企画は誰しも頭を悩ませるところだが、25周年を迎えた斉藤和義は新たなベスト盤などを組むのでなく、品切れ状態だった15周年に出したシングル集の再発＆配信開始という嬉しい企画になった。最近の曲なら手に入るし、同じようなベスト盤を出すより復刻でいいじゃん、というところか。代表曲満載のシングルA面曲集『歌うたい15 SINGLES BEST 1993～2007』に対して、こちらはタイトル通りB面曲集。蛇足ながらB面とはアナログ盤時代の言葉で裏面に入るカップリング曲のことだ。表題の期間のリリースをほぼ網羅した40曲を収めているが、当然ながら大半がアルバム未収録曲。ライブで演奏される機会が少ないが隠れた佳曲が多く、“歩いて帰ろう”のように代表曲入りするものもある。アコースティック・バージョンやライブ、ミックス違いなどで見知った曲に新たな発見をしたり、井上陽水“傘がない”や南佳孝“モンロー・ウォーク”、越路吹雪版“愛の讃歌”といったカバーに斉藤の好みを見るのも楽しい。不遇な時期もあった25年だが、着実にいい曲を作り歌ってきたから今の彼があるのだ。（今井智子）