インタースコープと決別したトレイル・オブ・デッドが自主レーベルからリリースする新作。まず音を聴く前からアートワークに圧倒される。実はこの緻密な線画は、コンラッドが青いボールペンのみを使って描き上げたもの。そして極めて簡易なメソッドにより築かれたこの狂気じみた世界観こそ、本作の内容を実に象徴しているのだ。
パンク以降の先鋭的なロックが辿ってきた道のりに逆流し、ファンタスティックなロマンと深遠なるフィロソフィーによる「過剰」を自分たちのロックの「必然」として鳴らしてきたTODだが、そのバランスは際どく、「過剰」が先走り、オーバーダブ地獄にはまった前作、前々作で、彼らのサウンドから「必然」は薄まった。今作は、その失敗を踏まえて、すべての曲をライブ・レコーディングしたという。もっともベーシックなロックのフォーマットが成しえる「過剰」の限界に再び挑戦したTODは、当初の緊張感と狂気とハングリー精神、つまり「必然」を見事に取り戻すことに成功している。コンラッドが故郷テキサスからニューヨークへ移住して受けた刺激も切迫感を強めているんだろう。傑作。(内田亮)