昨年から火が点いたメキシコ系でブルックリン出身のMC、シックスナイン。音はどこまでもローファイなトラップ・ビートだが、その押しの強さ一点張りのラップ・パフォーマンスにはつい引き込まれてしまうなにかがあってこれがブレイクの理由なのだろう。あまりスキルは感じられなくてもどうしても聴かれたいという切実な自己顕示欲がここにはあって、否が応でも聴いてしまうところがすごいのだ。この七色変化のヘアスタイルも七色の歯並びも、必死で目立ちたいパフォーマンスで、そこは筋金入りだ。ただ、過去の未成年少女との淫行やその時の動画流出による児童ポルノ疑惑がここにきて浮上して渦中の人にもなっている。やる気と存在感だけはしっかりしているのでここが踏ん張りどころだろう。トロール（炎上）・ラップと揶揄されていることを逆手に取っていくしかない。（高見展）
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『rockin'on』2018年9月号
