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「カテゴリーに収まらなければいけない」という固定観念から抜け出し、「歌や音楽、そして音楽の持つエンタメの可能性が好きなこと」が自分たちの強みだと掴んだ今のDannie Mayは強い。洗練された音作りと思わず踊り出したくなるグルーヴはそのままに、しっかりと音楽性がスケールアップしている。なんというか、デデーンと懐の大きなバンドになった。変に奇を衒わない王道サウンドに重なるのは、彼ららしい卑屈さが薫るリリック。とはいえ《誰でもいいから気づいて頂戴》(“玄ノ歌”)と情けを乞うわけでもなければ《こんなんじゃ一生バッタモン》(“笑わせらぁ”)と自虐するわけでもない。《悲観性運命》も《消えない歪み》も丸っと受容して、みんなで盛り上がれるハッピーソングに昇華するのが、現在のDannie Mayなのである。その影響か“玄ノ歌”では自分を鼓舞する掛け声のように響いた《オエオエオ》が、今作では未来を照らす魔法の言葉のように弾んでいるのも面白い。着飾らなくなると、こんなにも音楽の純度は上がるものなのだな。(坂井彩花)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年6月号より)
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