トレンディなメロウネス

ジョージ『バラーズ1』
発売中
ALBUM
ジョージ バラーズ1

アジアン・ヒップホップ・カルチャーを発信するプラットフォームである88risingのイマドキぶりには眩しさを感じずにいられない。デジタル・メディアを駆使しつつ、レーベル、マネジメント、YouTubeチャンネルまでをDIY体制でこなし、次々とアジアの若い才能を世に紹介する。所属するアクトのフレッシュな個性もさることながら、颯爽と新しい時代を乗りこなしている軽やかな佇まいが魅力だ。アジア系キャストの映画がハリウッドでヒットするなどアジアン・カルチャーがポップ・シーンを席巻するいま、彼らの存在は台風の目と言える。

88risingのソウル・シンガー担当のジョージは大阪出身のオーストラリア系日本人で、元YouTuberという経歴が何とも現代的。昨年リリースしたEPが大きな話題となり、デビュー・アルバムとなる本作ではビルボードのR&B/ヒップホップ・チャートで1位まで獲ってしまった。はっきりと現象と呼べるものだろう。

『バラーズ1』はタイトル通りのバラード集で、ここ数年のメランコリックなオルタナティブR&Bとヒップホップ〜トラップの潮流をうまく押さえたものだ。セルフ・プロデュースらしいがウェルメイドな作りにしすぎず、随所に巧みにロウファイ感を残している。音割れやノイズ、エフェクト・ボイス、スクリューなどを駆使してサウンドに「汚れ」を施し、生々しさを演出しているのだ。クラムス・カジノ、RLグライム、ジャム・シティといった先鋭的なプロデューサーを参加させてアンダーグラウンドとの回路を担保している点も抜かりない。そのポップかつエッジーな音とともに、ジョージの物憂げで線の細い歌が揺れる。イマドキの若者が抱える、常態としてのメロウネスがここには息づいている。(木津毅)



『バラーズ1』の各視聴リンクはこちら

ジョージ『バラーズ1』のディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

ジョージ バラーズ1 - 『rockin'on』2019年1月号『rockin'on』2019年1月号
公式SNSアカウントをフォローする

洋楽 人気記事

最新ブログ

フォローする