斉藤和義と中村達也のユニットが約2年ぶりに活動再開、挨拶代わりのEPをドロップする。タイトル通り剥き出しで飾り気なしの8曲に圧倒されるしかない。2018年はデビュー25周年のリリースやツアーで斉藤は多忙を極めた。中村も映画出演やあちこちでもセッション、ひとり旅など休む間もなく動いていた。そんなふたりがタイミングを見計らってスタジオに入り、初期衝動そのままに録りました、みたいな曲ばかり。これまでも基本そのスタイルだったが、斉藤らしいポップチューンをシングルにして、バランスをとっていた。ところが本作はそういう配慮が全くなし。ジャムってまとまりのいいところを拾っただけ、歌詞も1ワードを繰り返すだけ、みたいな曲がほとんどだ。だが、“裸の逃亡者”のスリリングなジャムに始まり、いい年して臆面もなく「豚のケツ！」と叫ぶ威勢の良さや、似たタイトルの曲とは関係ない親父のぼやきソングで笑わせる“硝子の50代”など、このふたりでないと成立しないマジカルな存在感に否応なく気持ちを持ってかれてしまうのだ。こんな最高のユニット、世界でも他にない。（今井智子）