『宇宙の騎士』から『マインドフィールズ』までのスタジオ・アルバムに加え98年リリースの未発表曲集『TOTO XX』、『ハイドラ』ツアーでの初来日公演の音源を収録した『Live In Tokyo EP』、「新曲」のみで構成された最新音源『オールド・イズ・ニュー』の計13タイトルをCD13枚組+アナログ17枚組でそれぞれ収録、さらに『TOTO IV 〜聖なる剣〜』の5.1chサラウンド音源&90年パリ公演の映像を収めたブルーレイも合わせて実にトータル31枚組! TOTOの40周年を祝い倒すには申し分ないボリュームのボックス・セットだが、何より今作が「ヒストリー総括」以上の特別な空気感を備えているのは、他ならぬ『オールド〜』の存在によるところが大きい。
新たに書き下ろした楽曲のみならず、「過去のレコーディング・セッションで一部のみ完成していた素材」「レコーディングしたもののお蔵入りになっていた楽曲」を、当時のテイクを活かしつつ新たなメロディやアイデアを加えて完成させた楽曲群も収めた同音源(一部楽曲は既発40周年記念ベスト盤にも収録)。ということはもちろん、楽曲によっては亡きジェフ・ポーカロ、マイク・ポーカロのプレイも「今」の新曲として結晶しているということだ。
複雑怪奇なプログレ・ナンバーになってもおかしくないイントロのフレーズを、ジェフの繰り出すビートとともに爽快なモダン・ロックの風景へと導いてみせる“Devi'l s Tower”、“アフリカ”直系のジェフ&マイクのリズムと、新たに書き下ろしたというサビのボーカル・ワークが極彩色に響き合う“スパニッシュ・シー”。スティーヴ・ルカサーのハード・エッジなリフ越しに美麗なる妖気が漂う“ストラック・バイ・ライトニング”……。スクリレックス&ホワット・ソー・ノットらエレクトロ勢とのコラボ曲(!)まで幅広くパッケージした『オールド〜』が物語るのは、TOTOという音楽集団が生み出し続ける「永遠のモダン」とでも言うべきマジカルなポップの高揚感だ。ハード・ロックもプログレもR&Bも自在に盛り込みながら、技術やギミックにおいてではなく、その楽曲とアンサンブルでいつの時代にも「一歩先の未来」を感じさせるクリエイティビティは、現在においてもなお唯一無二のものだ――ということを、2月の来日を目前にして改めて感じさせてくれる「新作」であることは間違いない。(高橋智樹)
『オール・イン(デラックス・ボックス)』の詳細はSony Music Shopの公式サイトよりご確認ください。
TOTO『オール・イン(デラックス・ボックス)』のディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。
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