21億人のエレクトロ・ハウス

アラン・ウォーカー『ディファレント・ワールド』
発売中
ALBUM
アラン・ウォーカー ディファレント・ワールド

ちょっと気が早いかもしれないけど、2010年代のポスト・EDMポップの軌跡を振り返った時、最も象徴的だったヒット曲は、ノルウェー出身のDJ/プロデューサー、アラン・ウォーカーの“フェイデッド”ではないかと思う。15歳の時にYouTubeのチュートリアル動画をきっかけに作曲活動を始めたという彼が15年に発表した同曲は、世界中の配信チャートで大ヒットを記録。YouTubeでの累計再生数は、なんと21億回(!)を超えている――あなたが気づいているかどうか知らないけど、オンライン上では、もはや全地球レベルの浸透度なのである。

映画やゲームのサントラが大好きだと公言するだけあって、ウォーカーの音楽世界は「シネマティック=映画的」な感性で溢れている。3D的な立体感を備えたシンセ・サウンド。超高解像度なクリア感の女性ボーカル。「孤独だけど、きっとどこかに誰かいるはず」というRPGゲーム的な物語性……ウォーカーの曲はどれも、映画のエンディング主題歌みたいだ。それもまた、彼の曲がストリーミング世代の間で大人気である理由のひとつだと思う。イントロが流れ出した瞬間、誰もが壮大な黙示録SFワールドをさまよう主人公になれる音楽なんだ。

というわけで、本作はそんなウォーカーの待望のデビュー・アルバム。前半(1〜7曲目)を新曲で固めた一方、後半にはこれまで発表してきたシングル曲も集められている(もちろん“フェイデッド”も)。世界各国のDJやボーカリストたちとのコラボに加え、最新シングル“ディファレント・ワールド”では地球温暖化に警鐘を打ち鳴らすなど、よりソーシャルに、よりグローバルな方角へ歩み始めている今のウォーカー。ここには、その新たな「未来地図」が、確かにくっきりと記されている。(内瀬戸久司)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。
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アラン・ウォーカー ディファレント・ワールド - 『rockin'on』2019年3月号『rockin'on』2019年3月号
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