メロディックでガチなパンクの総本山というイメージが定着していたエピタフというレーベルから、こんなに陽性なサウンドが出てくるのかと、モーション・シティ・サウンドトラックを初めて聴いたときは驚いた。そのMCSのジョシュアが惚れ込んでエピタフに仲間入りさせたのがミネアポリス出身のシング・イット・ラウドである。07年の結成から1年間でエピタフと契約→デビューALをリリースというスピーディーな展開にはさすがに本人たちも戸惑いを隠せなかったみたいだが(契約時はまだ7回しかライブやってなかったらしい)、本作で鳴っているのはMCSの系譜に連なる、キレよくキャッチーなポップ・ロック。それにノスタルジックなキーボードの上でエモーションが加速していくM8“マリオネット”やタイトなヴァースとサビでの音の広がりの対比が気持ちいいM10“フェイド・アウェイ”など、「目指すはアリーナ・ロック」という彼らの心意気を表したようなドラマチックな曲構成は聴き応え十分。メジャー志向もアリーナ・ロックも全然オッケー、というスタンスは玉石混交な今のエモ・バンド勢において頼もしい存在だ。(林敦子)