感覚ピエロをして「勝ち組」なんて表現を見かけることもあるが、彼らは常に楽曲で闘って「勝って」きたのだ、ということを確信するベストアルバム。彼らの鉄板ソング“O・P・P・A・I”から、直接の主題歌オファーを受けた“拝啓、いつかの君へ”はもちろん、“一瞬も一生もすべて私なんだ”などのシリアスなタイアップソングまで――流行に乗るでも逆らうでもなく、さまざまな顔を見せながら、どれをとっても「ジャンル：感エロ」としかカテゴライズできない楽曲たちが並んでいる。

そしてそのすべてに、ロックシーンを駆け上がっていく中で生まれるあらゆる意思や感情が息づいている。楽しさも、笑いも、悔しさも、怒りも、多彩な楽曲に多彩な感情が息づいているからこそ、嘘なく突き刺さるのだ。煽られれば噛みつき、ふざけたい時は思いっ切りふざけ、泣きたい時は寄り添うように、4人が全身全霊でプレイしてきたリアルな記録。そのくせ、ラストを“ありあまるフェイク”で飾る悪戯心にニヤリ。全力で生きるロックバンド・感エロの実力を改めて突きつける一枚だ。（後藤寛子）