トム・ヨークはヴァイナルに限る

トム・ヨーク『ノット・ザ・ニュース・リミックス EP』
発売中
EP
トム・ヨーク ノット・ザ・ニュース・リミックス EP

トム・ヨークの最新作『アニマ』は、限定盤の豪華ブックレット付きのヴァイナル・ボックスを買った。同梱されていたDLコードはMP3だけでなく24/44.1のハイレゾ音源もDL可能だった。ハイレゾも別途買おうかと思っていたのでラッキー。ライナー・ノーツを書いたので日本盤CDもいただいた。ストリーミング配信も合わせれば、都合4種の音源が手元にあるわけだ。我ながら物好きとしか言いようがないが、聴き比べた感じでは、もっとも音がいいのは断然ヴァイナル。低域の厚みと量感が全然ちがう。ついでに言えば、ヴァイナルはCD/配信にはないボーナス・トラックが1曲入っている。

本作は『アニマ』からのシングル・カットで、“ノット・ザ・ニュース”のリミックスを集めたもの。12インチ・ヴァイナル、ストリーミング配信やDLでリリースされているが、CDは出ていない。私は当然のように12インチ盤を手に入れ、そればかり聴いている。限定盤で既に入手困難になっているが、こだわる人はぜひヴァイナルでの入手をお勧めする。

収録内容は、1曲目がオリジナルより倍近く長いエクステンド・バージョン。リミックスは、トム・ヨークとナイジェル・ゴドリッチによるもの。2曲目はレディオヘッドの『TKOL RMX 1 2 3 4 5 6 7』にも参加していたマーク・プリチャードa.k.a.ハーモニック313のリミックス。原曲にトライバルなアフロ・パーカッションのループを加えたもので、呪術的な面が強調されていてかなり面白い。

3曲目はジャマイカの新世代ダンスホール・レゲエのデュオ、エクイノックスのリミックス。硬質な電子音と乾ききったリズムの打ちつけるようなビートが刺激的だ。そして4曲目はUKの名門「WARP」を代表するアーティストであり、現代UKテクノの最高峰であるクラークがリミックス。ゴツゴツとした荒々しいロック的とも言える仕上がりで、これが今回一番意外だった。最新作『Kiri Variations』の静謐な世界とも、得意のフロア・コンシャスなハード・テクノともまったく違うもので、非常に興味深い。4種4様のリミックスはトムの音楽に秘められたさまざまな側面を浮き彫りにすると同時に、リミキサーが料理しやすく多様な解釈を受け入れやすい余白がたくさんある、ということをも示している。

なおトムの最新曲はレッチリのフリーとの共同名義による“Daily Battles”という曲。これはエドワード・ノートン監督・主演の映画『Motherless Brooklyn』に提供したもので、トムのピアノ弾き語りを軸にした静かな曲。 (小野島大)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。
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トム・ヨーク ノット・ザ・ニュース・リミックス EP - 『rockin'on』2019年10月号『rockin'on』2019年10月号
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