LAのミニマル・ファンク・バンド、ヴルフペック。結成は2011年だが、海外のフェスでの評判が伝わり始めた3年ほど前から日本でも名前が囁かれるようになり、今や耳利きのリスナーの間では人気が定着した感もある4人組である。マルチ奏者を含むメンバーは手練揃いで、そのセンスと演奏スキルの高さは、ブーツィー・コリンズやジェームス・ギャドソンといった過去に共演してきたファンク/ジャズ界のレジェンドたちのお墨付き。今年9月にはマディソン・スクエア・ガーデンでの公演をソールドアウトさせたことも話題を呼んだ彼らの、本作は4作目のアルバムになる。
前出の名前に加えてプリンスのドラマーだったマイケル・ブランド、ジ・インターネットの作品にも参加するクァドロンのココ・Oなど様々なゲストが客演した前作『ミスター・フィニッシュ・ライン』。対して、本作でも引き続き「ブレインフィーダー」が誇るルイス・コールを始めとした顔ぶれが作品に華を添えている。グルーヴィなインスト・ファンクや手数を尽くすビート・コンシャスなアンサンブル、ホーンが飾るバラード、多彩なリズムが敷かれたソウル~R&Bナンバーまで、じつに自在。ボーカル曲で固められたアルバム前半が華やかだが、なかでもウィスコンシンのインディ・ポップ、フォックスの女性シンガー=モニカ・マーティンを迎えたラウンジ風の“ラヴ・イズ・ア・ビューティフル・シング”が白眉。かたや、“ディスコ・ユリシーズ”ではEW&Fをフェイバリットにあげるジョー・ダートのファンキーなベースを堪能できる。各プレイヤーのキャラを纏め上げるコンポーズの饒舌さはそのままに、ポップで洗練された魅力が上積みされた一枚。あとは来日公演の実現を願うばかりだ。(天井潤之介)
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