最新アルバム2作品『Eye』＆『Lip』を携え、全17会場32公演でSEKAI NO OWARI史上最大ののべ約29万人を動員した昨年のツアー「The Colors」の幕張メッセ公演の模様を完全収録した映像作品。巨大樹や列車といった寓話的な物語性を帯びたこれまでのツアーの舞台装置とは異なる、檻型のビジョンや無数の監視モニター映像をはじめとしたクールなステージデザイン。何より“Witch”“Missing”といった新作曲が“Death Disco”“眠り姫”など既発曲群と渾然一体となって立ち昇らせる、鋭利で冷徹な批評性――。類稀なるクリエイティビティと「今、ここ」への問題意識を、めくるめくポップファンタジーとしてライブで提示してきたセカオワにとって、初めて「オーソドックスなロックバンド」としてその魂の刃を剥き出しにした同ツアーの切迫感を、今作の映像は克明に伝えてくる。

4人が各々できることを持ち寄った結果「普通でないバンド」として時代のアイコンとなったセカオワ。“蜜の月”でFukaseベース＆DJ LOVEドラムという「普通のバンド編成」で演奏する姿が、かえって印象深く胸に残る。（高橋智樹）