命のハーモニーが織り成す街

ゆず『YUZUTOWN』
2020年03月04日発売
ALBUM
往年のゆずを彷彿とさせる新人バーチャルアーティスト=MIZUの活躍も注目を集める最中、本家ゆずは通算15作目のフルアルバムを発表する。“公園通り”以降の配信/フィジカルシングルを網羅しつつ、「街」というコンセプチュアルなテーマを掲げた作品だ。ここで語られる「街」とは、人々の命が互いに響き合い、物語を奏でる場としての「街」である。そこには出会いがあり、共鳴があり、別れがあり、そして見過ごすことのできない喪失がある。我々の生きる街は決して喜びだけに満たされているわけではないし、諍いだって起こるけれど、しかしなんてかけがえのない瞬間の連続でできているのだろう。今のゆずは、そんな風景を彩り鮮やかな音楽で活写しているのである。オープニングを飾る“SEIMEI”は、楽曲本来のスケール感に相応しい荘厳な新アレンジを松任谷正隆&蔦谷好位置のタッグが担当。また、和風メロディが美しい“花咲ク街”や、エキゾチックな旋律のカオスと化した“イマサラ”、そして北川悠仁が嵐に提供した楽曲のセルフカバー“夏疾風(YZ ver.)”など、本作に込められた街の躍動感は強烈だ。(小池宏和)