『parallel park』から約１年ぶりとなる２ndアルバム『jacaranda』に向けての先行シングル。前回のＥＰ『人鳥哀歌e.p.』も２種類のジャケットがあったが、今回はタイトルにちなんで東京の地下鉄路線９種類の色のジャケットが用意されている。これまでほとんど本人達がメディアに出てきたことのないバンドだが、こういう遊び心に溢れているバンドでもある。

１曲だけ収録されている表題曲はtacicaの王道とも言える曲。イントロからボーカルの猪狩が歌い始めると、ピンと空気が張り詰める。一つ一つしっかりとコードを刻んでいくギター、想像を広げるように様々な彩りを与えていくベースとドラム。そして、その上で歌われる言葉は『人鳥哀歌e.p.』と較べても更にクリアになっている。そして、エモーショナルなストリングスが入ってくるところが、これまでの楽曲とは違う優雅さを与える。

彼らの音楽は安易に魔法を費やすものではない。地下鉄のように日々の日常と共に何も置き去りにすることなく歩んでいく。アルバムが楽しみだ。（古川琢也）