節目を飾る充実の10作目

オーウェン『ジ・アヴァランチ』
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ALBUM
オーウェン ジ・アヴァランチ

最近ではThe 1975のマシュー・ヒーリーやパラモアのヘイリー・ウィリアムスとの交流もクローズアップされているマイク・キンセラ。すなわち「エモ」が現在のポップ・シーンに大きな影響を及ぼしていることの表れでもあるのだが、そんなキンセラのソロ・プロジェクトがこのオーウェンになる。中心メンバーを務めるアメリカン・フットボールの来日公演は延期となってしまったが、このたび4年ぶりとなる10作目のフル・アルバムが完成。ボン・イヴェールの作品で知られるショーン・キャリーが前作に続き共同プロデューサーを務めている。

そもそもはアメフトやその他のプロジェクトではできない音楽を求めて始まったオーウェン。しかし20年近くが経つなかで、プライベートな弾き語りからバッキングやゲストを交えたバンド・アンサンブルへと、その形態を大きく変えてきた。とりわけ近作において顕著なのはアメフトからのフィードバックで、今作でもチェロやトランペットなどの管弦楽器が彩りを与えている。軸となるのはマイクのギターだが、アメリカーナ風の鄙びたカントリー・フォークからポスト・ロック的なサウンドスケープまで展開は多彩。アンビエンスを含んだ奥行きのあるプロダクションは、キャリーともう一人のプロデューサー、ザック・ハンソン(ボン・イヴェール、ロウ)の手腕も大きいのだろう。ナウ・ナウのケーシー・ダラガーらを迎えたコーラス・ワークも美しい。

一方、歌詞には苦悩や葛藤、痛みを滲ませた描写が際立つ。いわく「結婚生活の崩壊と大きな結末」がテーマとのことだが、そうした引き裂かれた感覚を伴うところも本作の魅力といえるかもしれない。その紡がれる音、吐き出される歌や声の一つ一つに耳を傾けてほしい。(天井潤之介)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。
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オーウェン ジ・アヴァランチ
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