親しみやすいのに大胆不敵

KEYTALK『流線ノスタルジック』
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KEYTALK 流線ノスタルジック
「変化球なのに直球っぽい」という澄ました表情の魔球ぶりが、KEYTALKの音楽には常に貫かれている。“流線ノスタルジック”も、そういう作風が豊かに薫る曲だ。メンバーそれぞれが暴走気味に激しいフレーズを放っているのに、安定感抜群でグルーヴィー極まりない演奏として成立しているのは一体どういうわけなのか? しかも、意表を突くスリリングな展開がサビのメロディの郷愁を誘うムードを効果的に浮き彫りにしていて、ツインボーカルによる場面転換が歌詞の物語にロマンチックな奥行きを与えているのにもワクワクさせられる。さらりと聴くならば「胸に沁みるし、盛り上がる!」という無邪気な感想に大人しく着地するのに、細かく耳を凝らすと多彩な刺激が自己主張してくるのがすごい。不思議な転調やアクロバティックな演奏は、インディーズ時代から彼らの十八番だが、ヒネリを利かせた手法は、昨年のアルバム『DON'T STOP THE MUSIC』で一際磨き上げられていた。その次の一歩が、“流線ノスタルジック”なのかもしれない。こんな曲を聴いたら、今後の動きへの期待もますます高まる。(田中大)

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