MAN WITH A MISSIONの結成10周年に向けたドキュメンタリー映画で、2月に劇場公開された内容がパッケージ化。なんでアメリカ人の音楽ジャーナリストがMWAMのデビューライブにカメラ持参で突撃取材して大騒ぎしてるんだよ、という序盤からして劇場でもツッコミまくったチェンコ塚越監督作品である。オオカミたちの知られざる素顔が見られるかと思いきや、ファンにはお馴染みのミッション動画ノリでスルリと躱されてしまうのだが、要所要所で10年分のトピックをしっかりと纏め上げている。むしろ驚かされるのは、華やかなトピックの数々の陰に、堆く積み上げられたオオカミたちの地道な努力のほうである。ファンやライブ業界、レコード店、国内外のアーティストたちと築き上げた強固な信頼関係は、一朝一夕には成し得ないものだということがよくわかる。綾野剛や熊本市の大西市長、布袋寅泰ら豪華証言者たちも登場するが、とりわけMOBSTYLESのトシちゃんこと田原洋による「すごい沸かすけど、気持ちが裏方なんですよね」というオオカミ評には、全力で同意せざるを得なかった。（小池宏和）

『ROCKIN'ON JAPAN』2020年10月号より