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ウィル・バトラー『ジェネレーションズ』
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ALBUM
ウィル・バトラー ジェネレーションズ

アーケイド・ファイアのメンバーで、マルチ・インストゥルメンタリストであるウィル・バトラーがソロとして2作目のアルバムを完成。エレクトリック・レディ・スタジオで録音された1stアルバム『ポリシー』(2015年)では、アメリカの音楽史、ソウルやフォーク、ロックへの畏敬を、遊び心ふんだんに表現した。心くすぐる歌、情緒的なメロディがあり、それでいて奇想天外なサウンドで、気づけば彼の音の世界の中でマジカルな旅をしている作品。ソングライターとしての奥深さを味わったが、今回もまたその創造性を爆発させている。ブルックリンの自宅地下で自身でレコーディングをした今作は、シンセやエフェクティブなコーラスや音響も多用されている。生楽器の響きや柔らかな音響の前作よりも、エッジのある耳触りで切り込んでくるような、エレクトロ・タッチでの攻め方も多い。

前作からの5年の間に、アーケイド・ファイアでアルバム『エヴリシング・ナウ』のリリースとツアーをし、また3人の子どもの親として生活に軸足を置きながら、ハーバードで公共政策の学位取得やタウン・ミーティング等も行なってきたという。関心や探究心が広がり、深めていった時間でもあるのだろう。最初のアルバムが彼の音楽的な生い立ちや好奇心が積み重なった作品ならば、今回はよりパーソナルな肌感覚で今を捉え、どんな時代を生き、何を感じ、その喜怒哀楽や思いを音楽としたアルバムと言えそうだ。

ゴスペル的なサビのコーラスとスペイシーなシンセ・サウンドによる“Close My Eyes”、カントリー調でいて切迫感のある“Surrender”、そして情熱的な即興性とエンドロールのような詩情に富んだ“Fine”へと、全10曲で聴き手の心をノックし続けていく。 (吉羽さおり)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。
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ウィル・バトラー ジェネレーションズ - 『rockin'on』2020年10月号『rockin'on』2020年10月号
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