“The Age”というタイトルも含めて、ストレートなGotchのニューシングル。ストレートではあるけれど、シンプルではない。それも今っぽい。声の音色ひとつとっても、BASIのラップ、Gotch、アチコ（Ropes）、Keishi Tanaka、小西真奈美、さらにはインドネシア出身のDhira Bongsの歌によるカラフルなハーモニーが生まれている。また、ピアノとハンドクラップ、コーラスからはじまるゴスペルのようなオープニングも、「人の生の力」を感じるし、そこからはじまる井上陽介（Turntable Films／G）、中西道彦（Yasei Collective／B）、シモリョー（the chef cooks me／Key・Syn・Programing）、mabanua（Dr）が一堂に会した演奏も聴き応えたっぷり。豪華というだけではない多彩な音楽家の参加にも、様々な価値観が入り混じる今の時代が反映されているように感じられる。現実から目を逸らすことなく《君の手 君の声／この世は生きるに値する》と着地する歌詞にも、今すぐに響かせたいメッセージが詰まっている。Gotchのシングルというだけではなく、2020年のテーマソングのような楽曲だ。（高橋美穂）

『ROCKIN'ON JAPAN』2021年1月号より