熱狂に呼応するように

レックス・オレンジ・カウンティ『ライブ・アット・ラジオ・シティ・ミュージック・ホール』
発売中
EP
レックス・オレンジ・カウンティ ライブ・アット・ラジオ・シティ・ミュージック・ホール

レックス・オレンジ・カウンティのライブというと――アレックス・オコナーが次々と楽器を替え、時にはハンドマイクで小気味良いラップもしつつ、ごく自然と血肉化された、AOR、オールディーズ、ドリーム・ポップ、オルタナR&B、ネオ・ソウルといった様々な音楽性と、ヒップホップを通過した極上のビート感が混ざり合ったサウンド・デザインの活き活きとした最新形を味わえるわけだが、その模様をとじこめた、今年2月のニューヨーク、ラジオ・シティ・ミュージック・ホール公演を収めたライブEPがリリースされた。

叫びに近いような大歓声があがる中、2020年代を代表する名盤であるメジャー初アルバム『ポニー』の冒頭を飾る“10/10”のあの美しいメロディが奏でられてライブはスタートする。ソングライターとしての天才性に改めて感嘆させられながら、世界からの期待の熱量と呼応するかのように、俄然パワフルになり、ダイナミックに緩急がついたライブ・パフォーマンスが素晴らしい。幼少期から慣れ親しんできたような人懐っこい歌メロと気持ちいいビートにつられ、熱狂的なシンガロングが巻き起こる。ライブ会場にちなんでピアノだけの弾き語りで披露したビリー・ジョエルの“ニューヨークの想い”の骨太な歌と演奏はもはや貫禄もの。マジカルな瞬間が伸び伸びと更新されていく。

本EPのリリースと併せてツアーの舞台裏を追ったドキュメンタリービデオ『Funny How Things Go From One Thing To Another』も公開された。2018年のサマーソニック以来の来日となる予定だった5月のマイナビBLITZ公演はやむなく中止に。充実した音源&映像作品に、また目の前でライブを観られる日が一刻も早く来ることを願ってしまう。(小松香里)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。
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レックス・オレンジ・カウンティ ライブ・アット・ラジオ・シティ・ミュージック・ホール - 『rockin'on』2020年12月号『rockin'on』2020年12月号
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