そのままの気持ちを

Karin.『この感情にはまだ名前がない - ep』
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Karin. この感情にはまだ名前がない - ep
未曾有のパンデミックは世界中の歩みを変えてしまった。Karin.もまた、本来であれば3月に高校を卒業し、上京する予定だったが、茨城の実家にとどまることを余儀なくされたという。その鬱屈とした時期に作られたのが表題曲“この感情にはまだ名前がない”だ。初めての事態における、行き場のない気持ちと行き場のない音楽。シンプルな鍵盤のメロディとストリングスによって、そののっぴきならない切実さが、果てしなく高まる。

2曲目と3曲目に収められた“瞳に映る”と“いつかの私へ”のアレンジを手がけているのは巨大な才能と愛すべき人柄の喪失が惜しまれて仕方ない、赤い公園の津野米咲。アップテンポでキャッチーな鍵盤がフィーチャーされた弾むようなバンドサウンドの“瞳に映る”では、少女と大人の狭間における「君」とのコミュニケーションへの苦悩が歌われる。一方、ボトムのきいた無骨なロック曲“いつかの私へ”では、《みんな誰かになろうとするから/周りが気になってしまうの》と。どの曲でもやはり、自身の成長と心の動きによって変化する視座が、そのまま吐き出されている。(小松香里)

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