超新星爆発に立ち会う気分

ブラック・カントリー・ニュー・ロード『フォー・ザ・ファースト・タイム』
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ALBUM
ブラック・カントリー・ニュー・ロード フォー・ザ・ファースト・タイム

ここしばらく「若くてイキのいいUKロック・バンドがどんどん出てきてる」とか「サウス・ロンドンのシーンが活発で云々」などといった言説が盛んに聞かれるようになった。そんな中でも特別な存在感を際立たせるのが、すでに先行して話題を集めたブラック・ミディと、彼らの仲良しでもある(※先日も合同で配信チャリティ・ライブを行なった)もう1組のブラック、つまりこのブラック・カントリー・ニュー・ロードだ。

ブラック・ミディが4ピースの基本的な編成なのに対し、こちらは鍵盤や管弦担当のメンバーも加えた7人編成。他の若手UK勢と同様に、ブラック・カントリー・ニュー・ロードもまたポスト・パンク的な潮流の最前線に位置づけられなくはないが、すでにそこから大きく飛翔しているように感じる。パンクが基本的に楽理や演奏技術を軽視しがちな傾向を持つのに対し、この若者たちはクラシックやジャズの素養がしっかり身についており(それに加え、クレズマーという東欧系ユダヤの民族音楽を重要な土台として持っている)、さらには比較対象として名前が挙がるスリントのような先達とは違い、ハードコア・スピリッツ的なところから自由なのもポイントではないだろうか。そして、先鋭性を満載しながら、アンダーグラウンド・レベルに留まらないポピュラリティを発現しそうなポテンシャルを強く感じさせてくれるのが何より頼もしい。

おそらく、この超刺激的なデビュー・アルバムが世に出た暁には、例えばバトルスとかサンダーキャットなどにも似た形で、熱狂的なブレイクを果たす予感がビリビリとする。恐るべきは、そんな彼らが20歳そこそこの年齢だということ。将来性は未知数。2021年のミュージック・シーンは、とても幸先がよさそうで嬉し涙が出る。(鈴木喜之)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。
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ブラック・カントリー・ニュー・ロード フォー・ザ・ファースト・タイム - 『rockin'on』2021年2月号『rockin'on』2021年2月号
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