《心が殺されて　命だけが残った／残酷なお前の言いなりさ　世界も》――すべての常識と価値観が覆ったコロナ禍、TK from 凛として時雨が綴ったのは、無慈悲な運命に対峙する我々人間のあまりにも脆弱な存在と、それでも最後の一瞬まで抗い闘い尽くそうとする紅蓮のミュージシャンシップだった。

昨年9月に全国劇場にて上映された『TK from 凛として時雨 Studio Live for “SAINOU” ～Film Gig Emotion～』で初公開となった新曲“yesworld”。音の幾何学模様の如きピアノのフレーズも、《もっと奥まで刺さるナイフでとどめ刺して》と突き上げるTKの熱唱も、かつてないほどアグレッシブな切迫感に満ちて響く。そして最後、悲鳴と宣誓が渾然一体となったような《声も　愛も　未来も　記憶も　孤独も／お前には殺せないよ》の絶唱が全感覚を刺激する――。ヨルシカ・n-bunaによる“unravel”のリミックスや「THE FIRST TAKE」からのテイクも収録した今作は、TKの2020年のリアルと「『彩脳』のその先」への決意を、どこまでも美しく、凄絶に浮かび上がらせている。（高橋智樹）

『ROCKIN'ON JAPAN』5月号より