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《いつかこの身体が消えても 消せないほどの輝きを/誰かの為に遺させて》……『僕のヒーローアカデミア』第7期オープニング主題歌に起用されているアグレッシブなナンバー“誰我為”のサビに、TKはそんなフレーズを託した。この戦いは自分のためか、それとも誰かのためか――という『ヒロアカ』のテーマと真っ向から対峙したこの歌詞は同時に、極彩色の戦慄の淵から言葉とメロディを紡ぎ続けているTKという表現者の矜持を示した、終わりなき闘争宣言でもある。たとえ我が身は果てるとも、己の想いの結晶たる歌と楽曲は永遠に誰かの中に刻まれ続けてほしい、という感情はどの分野のアーティストでも抱くものではあるはずだが、そこに純粋無垢な透明度と揺るぎない凄みを宿らせ得るのは、自分自身とも時代とも向き合い続けるTKならではだろう。鬼気迫るサウンドと、儚くも鮮やかなシャボン玉のイメージと、聴く者のセンチメントを突き動かす旋律とが渾然一体となって、熾烈なロックの美の地平を切り開いている。(高橋智樹)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年8月号より抜粋)
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