オールマン・ブラザーズ・バンド『ダウン・イン・テキサス’71』

オールマン・ブラザーズ・バンド『ダウン・イン・テキサス’71』
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ALBUM
オールマン・ブラザーズ・バンド ダウン・イン・テキサス’71

オールマン・ブラザーズ・バンドの1971年、それはデュアン中心のライブ・スキルが極点に達したその刹那、10月29日に彼がバイク事故で急逝という、天国から地獄へ転変した年だ。あの名盤『フィルモア・イースト・ライヴ』は同年3月の録音だが本作は9月28日のもので、死の直前の貴重音源がまた充実した。

音質は『フィルモア〜』のクリアな抜け感に大きく譲るが、デュアンのスライド・ギターがうねるように突っ走り、もはやエロティックとすらいえる境地に達していて、とりわけ冒頭の“ステイツボロ・ブルース”から一気に畳みかける3曲の疾走感がとてつもない。

この人のギターには心をざわつかせる色気があり、ウィリアム・フォークナーの世界を彷彿させる南部の情念の蠢きがあった。この時まだ24歳。改めて、今さらながら、この先に辿り着いたはずの世界を妄想してしまうのだ。(茂木信介)



ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。
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オールマン・ブラザーズ・バンド ダウン・イン・テキサス’71 - 『rockin'on』2021年6月号『rockin'on』2021年6月号
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