“Time Warp”から約1年ぶりとなる新曲は、Amazon Prime Videoの音楽ライブエンターテインメント番組『ザ・マスクド・シンガー』（9月3日配信開始）のテーマソング。タイトなビート＆小気味よいベースラインとは対照的に、ファニーなシンセの音色が織り成すクールなコードワーク、そして肩肘張らずに陽だまりを闊歩するようなあ〜ちゃん／かしゆか／のっちの歌声が、「非日常としての近未来性」ではなく「近未来の日常」とでも呼ぶべき親近感あふれるフューチャー感を描き出しているのが印象深い。

ポリゴン（立体CGの基になる多角形データ）とリアルをゆるやかに織り合わせるようなサウンドデザインの妙。狂騒感に任せ闇夜を踊り明かすためではなく、今この瞬間を涼やかに生きるために、名匠・中田ヤスタカとPerfumeが響かせるダンスミュージックの形。ポップとアートの先端をひた走るPerfumeだからこそ体現可能な、ハイパーでアンニュイな歌の桃源郷が、ここには確かに広がっている。3人の自然体に宿るポップの誘引力が、まったく新しい形で結実した楽曲であることは間違いない。（高橋智樹）

『ROCKIN'ON JAPAN』9月号より