ファンクやミクスチャーロックというジャンルの枠組みを超え、数多くのリスナーに絶大なインパクトを与えた1stアルバム『LENS』。追加公演を含め、大熱狂の中で幕を閉じた全国ツアー「凹凸」。6月のメジャーデビュー以降、怒涛の快進撃を続けるKroiのネクストアクションに期待していた人は多いだろう。今回のEP『nerd』は、その高い期待を軽々と超えていく痛快な一作だ。先行シングル“Juden”は、一切の衒いのないド直球のジャズファンクナンバー。重厚なビートと極彩色のサウンドがもたらすのは、快楽中枢を刺激するドリーミーな音楽体験だ。自由奔放なマインドで縦横無尽に展開していく同曲は、最後の最後まで新しい驚きや興奮をもたらしてくれる。僕はこの曲に、5人のエンターテイナーとしての確固たる矜持を感じた。獰猛なロックのバイブスに満ちた“pith”や、メロウな歌心が響く“WATAGUMO”も素晴らしい。いつか再び、自由に声を出して好きなように踊れる日がきたら、今回の新曲は、ライブの場で更に何段階も化けるはずだ。彼らがフェスシーンをも席巻する日は近いと思う。（松本侃士）

『ROCKIN'ON JAPAN』1月号より